2023年9月議会一般質問議会-渡邉雅人

1情報政策

1.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進について

 ア.デジタルツイン
 イ.仮名加工情報を活用したデータサイエンス
ウ.民間との連携

2防災問題
1.学校施設の水害対策について
 ア.現状
 イ.今後の構想

 

△渡邉雅人議員

○議長(鈴木深太郎議員) 通告第12、6番、渡邉雅人議員。
〔6番 渡邉雅人議員 登壇〕

◆6番(渡邉雅人議員) おはようございます。それでは通告に従いまして、順次質問をしてまいります。
まず、DXの推進についてです。
皆様もご承知のとおり、自治体におけるDXの推進は、総務省の方針などを受け、近年積極的に取り組む自治体が増えてきています。本市も例外ではなく、今年度においては、デジタル化推進事業として、AIやRPAに関する取組が進められるなど、着実にDXの推進を実施されていると感じております。
ここで、改めてDX、つまりデジタルトランスフォーメーションとは何なのかというお話をさせていただくと、総務省が発表している令和3年版情報通信白書では、「外部エコシステムの劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステムの変革を牽引しながら、第3のプラットフォームを利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」とされています。
ここで、注意をしなければならないのは、効率化のためのデジタルツールを導入するデジタイゼーションや、プロセス全体をデジタル化するデジタライゼーションといった、デジタル技術を用いた単純な省人化、自動化、効率化、最適化はデジタルトランスフォーメーションとは言い難く、社会の根本的な変化に対して、既成概念の破壊を伴いながら、新たな価値を創出するための改革がデジタルトランスフォーメーションであるとも示されている点です。
私も過去に何度かデジタイゼーションやデジタライゼーションの観点から、行政業務のICT化を一般質問の場で求めてきていましたが、そこから数年が経過し、今、社会から求められているのは、デジタル化を進めた先に、新たな価値を創造していくことであるということを踏まえながら、今回は3点にわたって質問をしてまいります。
まず、アのデジタルツインについてです。
デジタルツインとは、現実空間で収集したデータを基に、仮想空間に現実空間を再現する技術のことを指します。この仮想空間において様々なシミュレートを行うことで、現状の課題や将来起こることが予測される課題に対して、適切な対応を実施できるようになることが期待され、このデジタルツインという技術は、今後行政においても有効活用されていくのではないかと期待されており、国においては国土交通省が主導して、3D都市モデルの整備、オープンデータ化を進める「PLATEAU(プラトー)」というプロジェクトが2020年度からスタート、そして、このプラトーへの参画、連携、あるいは活用することで、自治体によって具体的な取組は様々ではありますが、都市デジタルツインへの取組が進んできております。
国土交通省のホームページに掲載されている事例を幾つか挙げさせていただくと、茨城県鉾田市が取り組む3D都市モデルを活用したシティプロモーション事業や、大阪府摂津市が取り組む3D都市モデルを活用した内水氾濫リスク情報可視化事業、大阪府柏原市が取り組む3D都市モデルを活用した駅前まちづくり基本構想の作成、香川県さぬき市が取り組む3D都市モデルを活用した災害リスク可視化事業など、こうした事例を見るだけでも、デジタルツインが多種多様な事業へ活用できる可能性を持つことが分かります。
そこで、本市において、デジタルツインを用いて、現状、そして将来の政策課題の解決に生かしていくことについてご見解をお伺いいたします。
次に、イの仮名加工情報を活用したデータサイエンスについてです。
去る7月12日に、21世紀クラブメンバーで福岡県の古賀市へ「DXの推進について」をテーマとして、行政視察に行ってまいりました。
DX推進に関する様々な取組を伺えた中で、特に興味深かったのが、仮名加工情報を活用したデータサイエンスへの取組でした。
データサイエンスとは、数学や統計学、プログラミング、人口知能、機械学習などを活用してデータの分析や解析を行い、有益な洞察を導くことを指し、こうしたデータを基にした洞察を、政策に関する意思決定や計画策定につなげることで、データに基づいて判断、行動するデータドリブン型の行政運営の実現に寄与することが期待されています。
そして、仮名加工情報とは、他の情報と照合しない限り、特定の個人を識別することができないように加工された個人に関する情報のことで、2022年に個人情報保護法が改正されたことにより、活用することができるようになりました。
2015年以降活用することができた匿名加工情報と比較すると、情報の提供範囲を自社内、もしくはあらかじめ情報提供者に許可をとった範囲内に限るという制限をつける代わりに、氏名など個人が特定されるような記載の置換または削除という簡便な加工処理が許されており、加工によって情報の粒度が粗くならないため、匿名加工情報よりも詳細な個人データでの分析が期待できます。
実際に古賀市では住民基本台帳データや介護保険情報などのデータを、仮名加工情報として分析することにより、機械学習などによる新たな気づきが、介護予防や健康寿命の延伸といった、慢性化している社会課題の解決につながることなどを期待しているとのことでした。
本市においては、こうしたデータドリブン型の行政運営を目指す取組と、親和性が高いものとしてEBPMが令和3年度から試行導入されており、今後本格的に運用がなされていくものと承知しております。
そして、このEBPMについては、令和4年6月定例会における菊名議員の一般質問に対して、職員の皆さんを中心とした研修の中で、「EBPMの活用にはデータを吟味できる人材を増やすことがまず重要」との話が講師からあったというご答弁がございました。
このことからも、データそのものの重要性、そしてそのデータを適切に分析、解析し、意思決定などにつなげることの重要性が分かります。
そこで、本市においても仮名加工情報を活用したデータサイエンスの取組を進め、EBPMとの相乗効果を生み出すことで、より効果的な意思決定、政策立案へつなげるべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。
次に、ウの民間との連携についてです。
ここまで、行政におけるDXの推進についてご提案をしてまいりましたが、社会課題の解決のためには行政からのアプローチだけではなく、民間からのアプローチも非常に大きな力となります。
イの仮名加工情報を活用したデータサイエンスを実施している古賀市では、福岡工業大学と仮名加工情報を用いたデータサイエンスに関する連携協定を結び、市が仮名加工情報に加工した情報を福岡工業大学側が分析し、その結果を市へフィードバックするという形で取組を進めています。
また、長野県の伊那市では、KDDI株式会社と伊那ケーブルテレビジョン株式会社とが共同で買い物弱者を支援することを目的に、ドローンによる迅速な配送と、ケーブルテレビによる手軽な注文を組み合わせた買い物サービスである「ゆうあいマーケット」という事業が実施されています。
行政が割ける人的資源などのリソースや持っているノウハウには限りがある中で、ご紹介したように多様な分野に活用することができる可能性を持つDXの推進を、スピード感を持って進めていくためには、こうした民間との連携を積極的に深めることは非常に有効であると考えます。そこで、DXの推進に関して、民間との連携を活用していくことについて、市の考えをお聞かせください。
次に、学校施設の水害対策についてです。
近年、毎年のように台風や線状降水帯などによる大規模な水害による被害が全国的な問題となっております。
本年6月上旬に上陸した台風2号と、発達した梅雨前線の影響も加わった大雨が日本列島各地に大きな被害をもたらしたことは記憶に新しいところですが、このときに問題となったのが、学校施設における浸水被害です。
内閣府が発表している「令和5年梅雨前線による大雨及び台風2号に係る被害状況等について」という資料によると、6月5日の17時時点で、全国の公立学校施設のうち73施設で床上浸水や土砂の流入などの被害があり、埼玉県内では4施設が被害に遭ったとのことです。
学校施設は、水害を含む災害時の避難所や避難場所として設定されていることが多く、本市においても、市内で33か所設定されている洪水や大雨による浸水を対象に含んだ指定避難所のうち、32か所が学校施設となっております。そのため避難所としての機能を果たすことができなくなってしまうおそれがあることはもちろん、そうした学校施設に通う児童や生徒の安全といった観点からも、学校施設が先ほど申し上げたような被害を受けてしまうことは避けなければなりません。
そうした現状を国も大きな問題として捉え、本年5月30日には、「水害リスクを踏まえた学校施設の水害対策の推進のための手引」が文部科学省から公表されました。
これらの状況を踏まえ、2点お伺いいたします。
まず、アの現状ですが、ご紹介した手引には、文部科学省が実施した浸水想定区域、土砂災害警戒区域に立地する学校に関する調査において、浸水想定区域に立地し、地域防災計画に要配慮者利用施設として位置づけられた公立学校のうち、学校施設内への浸水対策や受変電設備の浸水対策など、ハード面の対策を実施している学校は、令和2年10月時点で約15%であったそうです。
本市は、市内のほぼ全域が利根川、江戸川、中川、荒川の浸水想定区域に指定されていることから、指定避難所となっている32か所の学校施設全てが浸水想定区域に立地しており、そのうちの28施設が本市ホームページで要配慮者利用施設として掲載されています。さらに、そのうち特別支援学校については県立であるため、27施設が市の所管となっていると承知しております。
そこで、この27施設について、施設内への浸水対策や受変電設備の浸水対策など、ハード面の対策の実施状況を、件数や対策内容を踏まえてお答えください。
次に、イの今後の構想についてですが、文部科学省の手引では、学校の水害対策の基本的な視点として、学校施設の水害対策の検討に当たり、児童・生徒等の安全確保、被災後の学校教育活動の早期再開などの、学校教育上果たすべき役割を第一に置きつつ、多くの学校が避難所等に指定されていることなど、地域防災上の役割にも留意することが重要であると記した上で、水害リスクを踏まえた浸水対策、学校設置者と治水担当部局や防災担当部局などの連携体制の構築、学校施設の土砂災害防止対策の実施の必要性が示されております。
そして、水害対策の検討手順として、本市のように対象となる学校数が多い場合は、地域による水害リスクの程度や施設整備の状況、河川などの整備状況、まちづくりの方向性など、対策の条件や前提などが異なることが想定されることから、優先度を勘案して整備を進める必要があることが示されております。
そのためにハザード情報や河川整備等の共有など、専門的な知見を持つ関係部局などとの連携体制の構築を行い、想定される浸水深や水害の発生頻度、施設の脆弱性などを踏まえて、個々の学校施設の対策内容や整備方針、対策を進める学校の優先度などの検討を、ハード,ソフトの両面から進める必要があるとされております。
ここまでのことを本市に置き換えると、例えば、本市の地理的条件から、土砂災害よりも浸水被害への備えが優先度が高いであろうことや、今日に至るまでの各学校の使用期間や長寿命化対策をはじめとして、様々な内容を加味して検討を進める必要があるかと思いますが、それらを踏まえて今後の本市における学校施設の水害対策の構想をお聞かせください。
以上で1問目を終わります。

○議長(鈴木深太郎議員) 渡邉雅人議員の質問に対する答弁を求めます。
日暮義一企画政策部長。
〔日暮義一企画政策部長 登壇〕

◎企画政策部長(日暮義一) 渡邉議員のご質問に順次お答えいたします。
初めに、1、情報政策の1、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進についてのア、デジタルツインでございますが、デジタルツインは、現実空間を仮想空間上に再現したもので、現実空間の情報を仮想空間に連動することにより、仮想空間でシミュレーションなどを行えるものであると認識しております。
現在、国では、都市デジタルツインの社会実装を進める「PLATEAU(プラトー)」というプロジェクトが行われており、令和4年度までに約130の都市で3Dモデルが整備されております。
既にプロジェクトに参加している自治体では、防災やまちづくり分野で活用している事例が多く見られ、本市においても同様の分野での活用が期待できると考えております。
一方で、整備しようとする3D都市モデルによっては、新たなデータを収集する必要があるといった課題もありますので、関連部署と連携し、本市に適したデジタルツインの在り方などについて、先進事例の研究等を行ってまいります。
次に、イ、仮名加工情報を活用したデータサイエンスでございますが、仮名加工情報はイノベーションを促進する観点から、氏名等の情報を削除するといった加工をすることで、事業者内部における分析に利用できるようにしたものであります。また、委託や共同利用により、第三者へ提供することもできるものでございます。
この仮名加工情報は、「ほかの情報と照合することで特定の個人を識別することができる状態にある場合」には、「個人情報に該当する」と理解されておりまして、様々な情報を保有する自治内部で利用する場合には、データ利用の過程で個人情報が復元され、特定の個人を識別することが可能となる場合もありますので、細心の注意を払うことが必要であると認識しております。
その一方で、議員からもお話がございましたとおり、個々のデータが持っている意味を理解した上で、目的に合わせて適切に統計処理や分析を行うことは非常に重要でございます。
仮名加工情報や匿名加工情報など様々なデータにアクセスしやすい環境を整備することは、職員がデータに触れる機会を増やし、データが持つ価値への理解を深め、データを適切に利用できる職員の育成に寄与するものと考えております。
これに加え、「政策立案の過程で数字的な根拠を用いる」といった習慣を身につけることで、EBPMの推進にもつながるものと推察しております。
最後に、ウ、民間との連携についてでございますが、DX推進には、高度な専門性が要求され、また、その知識や技術は常に進化していることから、様々なノウハウや最先端技術を持つ民間企業または大学の力を活用することは有効であると認識しております。
今後、社会のデジタル化が一層進展すると、これまで以上に、民間企業や大学との連携が行政課題を解決する有効な手段となることが期待されますので、関係部署と連携し研究してまいります。
以上でございます。

○議長(鈴木深太郎議員) 松本義博危機管理監。
〔松本義博危機管理監 登壇〕

◎危機管理監(松本義博) 私からは、1、学校施設の水害対策についてのイ、今後の構想のうち、担当分についてお答えいたします。
現在、市内全ての小・中学校は、指定避難所として位置づけられております。
これまで、指定避難所としての機能を確保するため、避難所参集職員の配置や、避難所運営委員会の設置及び災害備蓄品の整備を図るとともに、避難所開設時においては、体育館だけでなく、校舎の一部を特別な配慮を必要としているかたのスペースとして配置できるようにレイアウト案を作成しておくなどの利用方針を定めております。
また、令和3年度には、「まるごとまちごとハザードマップ」として、住民のかたが自分たちの住む地域の水害の危険性を実感できるよう、「まちなか」にある電柱と全ての小・中学校の壁面に想定浸水深の標識を設置し、日常的な水害の意識を高めるとともに、発災時に安全かつスムーズな避難行動につなげられるよう周知を行ってまいりました。
さらには、児童・生徒等の安全を確保するため、水防法の規定に基づき、洪水時の避難確保計画の策定が義務づけられておりましたが、令和4年度におきまして、全ての小・中学校の協力の下、策定が完了し、当該計画に基づき、毎年度避難訓練を実施しているところでございます。
指定避難所における今後の取組といたしましては、大規模な水害が発生したことを想定し、体育館から校舎へ垂直避難する必要がある場合、活用できる避難者の居住スペースや収容可能な人数など、避難者への対応について、各小・中学校と引き続き協議を行っていく必要があると考えております。
また、災害備蓄品のうち、特に簡易トイレやポータブル電源装置など、避難者のニーズが高くなることが想定される備蓄品を、より多く整備できるよう検討を進めるとともに、水害発生時において、備蓄品が氾濫水により汚損しないよう、全ての備蓄倉庫が2階以上の場所に設置されている状態となるように、関係部局と連携を図り、改善に取り組んでまいります。
以上でございます。

○議長(鈴木深太郎議員) 菅原成之学校教育部長。
〔菅原成之学校教育部長 登壇〕

◎学校教育部長(菅原成之) 私からは、渡邉議員の2、防災問題、1、学校施設の水害対策についてのご質問に、順次お答えいたします。
初めに、ア、現状でございますが、本市の浸水対策のハード面につきましては、小学校11校において、屋内運動場に設置した空調設備の室外機について、架台のかさ上げを行っております。受変電設備につきましては、学校敷地の1階部分に設置されており、かさ上げは行っておりません。
浸水対策のソフト面といたしましては、校長会と連携し、避難所となる場合や浸水などの危険が予測される場合には、児童・生徒の登校前であれば休校とするほか、登校後の場合は、状況に応じて上階に垂直避難するなどを想定しております。
次に、イ、今後の構想についてでございますが、水害対策を進めるためには、ハザードマップ等の情報を基に、浸水時に想定される被害や影響を確認し、学校ごとに対策の方向性を検討する必要があると認識しておりますが、特に、より発生頻度が高いとされる浸水想定への検討を優先する必要があると考えております。
具体策として、学校の重要書類の電子化を推進するなど、ソフト面の対策に努め、災害時には高額な機器を上階へ移動するなどの検討を進めてまいります。
ハード面では、本年5月に公表された「水害リスクを踏まえた学校施設の水害対策の推進のための手引」にもございますが、屋内運動場の床下換気口への止水シートの貼付けや、職員室への止水板設置などの対策が考えられます。
今後につきましては、洪水・内水情報や浸水想定を提供している関連部署と連携を図り、水害対策についての優先度や効果的なハード対策の助言を求めるなど、必要な情報を精査し、学校浸水対策に取り組んでまいります。
以上でございます。

○議長(鈴木深太郎議員) 渡邉雅人議員。

◆6番(渡邉雅人議員) それぞれご答弁をいただきましてありがとうございました。
再質問と要望をさせていただきます。
まず、DXの推進についてです。
アのデジタルツインについては、先進自治体における活用事例から、本市においても防災やまちづくりなどの分野で活用が期待できると考えていらっしゃるということでした。そして、整備をする3D都市モデルによっては、新たなデータを収集する必要が出てくるといった課題が考えられる、そういた趣旨のご答弁だったかと思います。
都市デジタルツインを進めていくためには、3D都市モデルの構築、これはまず必須だと思います。そして、そのためには都市に存在する建築物、道路、土木構造物などの現実の都市に存在する様々なオブジェクトの3次元情報、これに加えて、用途や築年数などの意味情報、これを掛け合わせていかなければなりません。
デジタルツインをどのような課題の解決に活用するのか、また、そのための3D都市モデルを一から自前で開発、整備をしていくのか、こういった条件によっては、確かにご答弁でおっしゃられたように、新たなデータを収集する必要が発生するということもあるかもしれません。
ただ、一方で、1問目でご紹介した「PLATEAU(プラトー)」を活用するという前提でいくと、その可能性は低いのではないかなとも考えております。
国土交通省のホームページで公開されている「PLATEAU 1st Step(プラトーファーストステップ)ユースケース開発ガイド自治体編」という資料によりますと、「PLATEAU(プラトー)」における3D都市モデルは、地方公共団体が保有する地図や測量成果を再利用することで構築可能ですよと記されています。
そして、そのための費用も比較的安価に抑えることが可能で、都市計画基本図や都市計画基盤調査をフル活用すれば、100平方キロメートルの建築物モデルを300万円程度の予算で整備することも可能ですと示されており、そうして整備された都市モデルが、1問目でご紹介したような様々なデジタルツインの事例につながっております。
そして、この地方公共団体がプラトーに参画し、3D都市モデルの整備、あとは活用、オープンデータ化を推進するための補助制度もあります。
都市空間情報デジタル基盤構築支援事業というものが、令和4年度に創設されています。この都市空間情報、デジタル基盤構築支援事業は、通常タイプが補助率2分の1となっているのですが、令和5年度に新たに創設された、これ早く3D都市モデルやデジタルツインを進めていきたいという意図だと思うんですが、この早期実装タイプというものがありまして、この早期実装タイプは上限を1,000万円として、補助率が10分の10となっております。
この補助金は、3D都市モデルの整備だけではなく、3D都市モデルの整備に必要な都市計画基本図などの元データの整備だったり、あるいはデジタル化、そして3D都市モデルの維持管理やオープン化などに必要なシステム整備、3D都市モデルを活用したユースケースの実装に必要なシステム開発、あるいは実態調査、あるいはデータ収集など、デジタルツインの実現へ向けた様々な施策に活用が可能となっております。
そこで、企画政策部長に再度お伺いいたしますが、既に保持しているデータを活用することで、デジタルツインの第一歩としては十分活用可能なレベルである3D都市モデルが構築できること、そして補助制度を活用することで、本市における費用負担が大幅に抑えられることから、「PLATEAU(プラトー)」に参画するということは、本市のデジタルツイン、あるいはひいてはDXの推進に大いに意義があるのではないかというふうに考えますが、ご見解をお伺いいたします。
次に、イの仮名加工情報を活用したデータサイエンス、こちらについては、まずデータに触れる機会が増えることで、データを適切に利活用できる職員育成に寄与し、EBPMについても推進につながることが期待できる。ただ、その反面、データ利用の過程で、個人情報が復元され、特定の個人を識別することが可能となることもあり得るということで、細心の注意を払う必要があるといった趣旨のご答弁でございました。
この懸念点に関しては、視察に伺った古賀市の情報の加工方法が非常に参考となると思いますので、少しこちらもご紹介をさせていただきます。
古賀市では、仮名加工情報を作成する際に、まず住民コード、こちらは全く別の番号へと置換して、そして氏名については情報削除、そして生年月日や住所といった情報は、ある程度の曖昧性のある情報に加工する。例えば、私なら三郷一丁目何の何という住所がありますけれども、それを三郷一丁目だけにするとか、ある程度住んでいるエリアは分かるけれども、ある程度曖昧性があるといった情報に加工した上で、不可逆性を持たせて、そしてデータサイエンスを実施する際に、個人の特定とつながらないように工夫をなさっているということでした。
データサイエンスをより有効に実施するためには、できるだけ詳細な、そして多岐にわたる情報があることが有用になるということは自明かと思います。ただ、この仮名加工情報というのはその一助となる可能性を十分秘めているというふうに思いますので、個人の特定につながらないための加工方法については、今ご紹介したような古賀市をはじめとした先進自治体の取組を参考としていただいて、前向きにご検討いただければと思います。この点は要望です。
次に、ウの民間との連携については、DXの推進に求められる専門性や知識、技術が常に進化していることから、そのためのノウハウであったり、最先端の技術を持っている民間企業や大学との連携は、非常に有効な手段になると考えているといったご答弁でございました。
DXの推進と一口に言っても、今回ご提案したデジタルツインやデータサイエンスだけではなくて、先ほど1問目で少し例にも挙げましたけれども、ドローンを使った配達とか、買い物弱者への支援とか、本当に様々な方向性の施策に、これまでになかった新たな価値を生み出す可能性があります。
そして、その1つ1つについて、職員の皆さんが専門性を持って検討して取組を進めていくということは、職員の数であったりとか、あるいは日々の業務に当たる時間もありますから、そういったものを考えるとなかなか現実的ではないのかなというふうに感じています。
例えば、データサイエンスについて、行政単独で行うには、まずはデータを有効に分析できる人材の育成から始めていかなければいけません。古賀市においては、そうした人材の育成に要する時間だったり費用だったり、こうしたものを勘案すると、既に一定の専門性を持っている、理工系学生を有する福岡工業大学との連携が有効であろうということで、データサイエンス協定の締結に踏み出したといったようなお話もございました。
行政が得意な部分と民間が得意な部分をうまく役割分担をしていただいて、より有効に、そしてより多くの方向性の持っているDXの推進に関わる施策を、スピード感を持って前に進めていくことができると思いますので、民間との連携についても積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。この点に関しても要望です。
次に、学校施設の水害対策についてです。
アの現状については、ソフト面において、浸水対策に関する想定をある程度されているというお話と、あとはハード面に関して、こちらは空調設備の室外機について課題のかさ上げを11校で行っているのみにとどまっているといったお話でございました。
こうした現状を鑑みると、浸水を含めた学校施設の水害対策、これは本市にとって喫緊の課題であるなということを改めて痛感いたしました。予算などの課題を考えると、全ての学校施設で一斉にハード、ソフト両面の対策を実施するというのはなかなか難しい面もあるのかなとは思いますが、いつ来るか分からない大規模な水害から、地域住民の命と子どもたちの教育の場を守るためにも、一日も早い対策が必要だなというふうに感じています。
そして、イの今後の構想については、まず危機管理監からは、避難者の居住スペースであったり、あるいは災害備蓄品の整備などの事例を挙げていただきながら、小・中学校や関連部署と連携を図って取り組んでいきますといったようなご答弁がございました。
そして、学校教育部長からは、ハザードマップなどの情報を基にして、より発生頻度が高いと想定されている浸水想定に対しての検討を優先していく必要があるといったお考えをおっしゃっていただきました。その具体策としては、ソフト面、ハード面それぞれ対策もお答えいただきました。
対策の優先度については、1問目でもご紹介した文部科学省の手引の中でも、「想定最大規模降雨の浸水想定のみに着目をすると、緊急時の安全確保のための対策以外に、何の浸水対策も施せないという結論に陥る可能性がある。
例えば、想定最大規模降雨で想定される浸水深が数メートルと大きく、浸水対策が技術的に困難なケースや、膨大な費用がかかるなどで浸水対策が非現実的とみなされてしまうケースは、対策の遅滞要因になり得る。
そこで、浸水対策を検討する際は、想定最大規模の浸水想定にだけ着目するのではなく、より発生頻度の高い浸水想定にも着目した上で、具体的な目標を立てる必要がある。そして、これを達成するために講じる浸水対策の対象とする対策目標浸水規模、これを多段階に設定し、それぞれの対策目標浸水規模に対して、具体的な対策内容の検討を行う視点が重要となる」と記されております。
以上、ここまで述べてきた、ご答弁いただいた現状や今後などを踏まえると、実施すべき対策の内容というのは本当に多岐にわたり、かつ対策が必要な施設の数が多いという中で、場当たり的に対策を実施していくだけでは、いたずらに時間と費用を弄してしまうのではないかなといった懸念がございます。
そこで、1点ご提案なんですが、まずはどの学校施設にどういった対策が必要なのか、そして本市の予算状況と照らし合わせて、どのようなスケジュールで全ての学校施設に対策を実施していくのかというロードマップをまずは作成して、そして今後の本市における学校施設の水害対策に当たっていただきたいなというふうに思います。この点は要望といたしますので、今後の本市における学校施設の水害対策を迅速かつ優先度の高いものから適切に進めていただくよう、よろしくお願いいたします。
以上で2問目を終わります。

○議長(鈴木深太郎議員) 渡邉雅人議員の2問目に対する答弁を求めます。
日暮義一企画政策部長。
〔日暮義一企画政策部長 登壇〕

◎企画政策部長(日暮義一) 渡邉議員の再度のご質問にお答えいたします。
3D都市モデルの構築、そして「PLATEAU(プラトー)」への参画についての考えというご質問だったかと思います。
3D都市モデル作成に当たっては、その活用目的に応じまして、必要なモデルの精密度が異なることから、どのような業務で、どのように活用するのかを事前に明確にすることが大切であり、実際に3D都市モデルを使用する業務担当部署の意見や意向を反映させることが重要であると考えております。
一方、議員からもございましたが、「PLATEAU(プラトー)」への参画が有意義なもので、本市のDX推進に寄与することが期待されるものであることも認識しております。
今後、3D都市モデル構築については、担当部署と連携し、導入目的、導入時期、導入方法などについて、国の補助金の利用や費用対効果なども含めまして、総合的に判断してまいりたいと考えております。
以上でございます。

○議長(鈴木深太郎議員) 以上で渡邉雅人議員の質問を終わります。
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